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出品作家紹介
アルベール シュミット  ALBERT SCHMIDT (1883−1970)
 美術学校で学ぶ傍ら、若きシュミットは父ダヴイッドの友人であったフェルディナンド・ホドラーの影響のもとに成長したと言っていいでしょう。フェルディナンド・ホドラーはいうまでもなく、20世紀を代表する傑出した画家です。
 ホドラーがスイスの大自然や人間を愛して、その根元の姿を芸術に高めたように、シュミットの絵画は、象徴的に単純化した形や姿をリズミカルな線と色彩で表現しています。
 学友ハンス・ベルガーや同時代のスイスの画家の多くが表現主義に傾倒していったのに対して、シュミットは象徴派の立場をまもり続けました。   
 今回イマイズ画廊でご紹介する作品は、彼の長く実りの多いキャリアの中の1910年から20年代のごく一部の作品です。それでもホドラーから受け継いだ芸術家としての精髄を自身の個性、感性として身につけたシュミット絵画のエッセンスは十分ご堪能いただけると思います。   
 ジュネーブ画壇のもっとも個性的なプレゼンティターのひとりであるアルベール・シュミットの他の作品につきましては、今後当ホームページでご紹介させていただきます。
エルネスト ボゲリ   ERNEST VOEGELI (1900−1988)
 20世紀の幕開けとともにベルンのローパンに生まれたボゲリは、若い頃からフランス絵画をこよなく愛し、“ロマンドの画家”とよばれました。“ロマンド(romand)”とはスイスのなかでフランス語を話す地方のことです。
 ボゲリは、バールとミュンヘンで美術の基礎を学んだのち、’28年にローザンヌに腰を落ち着けました。ここで樹木や岸辺等の風景画を明るい色調の中に柔らかで力強い筆致で描いた作品を生みだしました。ときおり北アフリカやヨーロッパを旅し作品を発表しましたが、その死まで60年間、ずっとローザンヌに住み続けました。
 観る人々と感動を分かち合いたいという、ただそれだけの想いを込めて、彼は自由奔放さと高い芸術性を併せ持った作品を世におくり続けたのです。
ジャン・デュコム   JEAN DUCOMMUN (1920−1958)
 1920年、ショウ・ド・フォンに生まれ、58年にジュネーブで早すぎる死を迎えたこのアーティストは、よくトゥルーズ・ロートレックと比較されます。
 どういうわけか、このふたりには共通点が多いようです。
 たしかに身長140cmのロートレックほどではないにしても、非常に小柄な体躯であったデュコムは、ロートレック同様、しばしば鋭く風刺的な題材を好んで描きました。また、ロートレックが「ムーランルージュ」で描いた作品によく見られる人物のようにデュコムの作品にも下方からの光を受けた人物の作品が見受けられます。
 しかし、ロートレックの作品の特徴として、軽い淡彩の手法があげられますが、デュコムの作品は素材を重ね合わせて、骨太な線をベースに実に活き活きとした色合いを創り出したところにあります。
 その作品のクォリティの高さ、力強さにもかかわらず、ジャン・デュコムは今日ではほとんど忘れ去られています。
 ジャン・デュコムが並はずれた画家であることは、その人生、作品、あるいはその際だった性格をみても明らかでしょう。
ビバルド マルチニ   VIVALDO MARTINI (1908−1990)
 はじめてビバルド・マルチニの作品をご覧になった方は、その才能についていくつかの素朴な疑問を感じることでしょう。
 どれがほんとうのマルチニなのだろうか?
 彼のスタイルとはなんだろうか?
 その作品は、なにを提示しようとしているのか…快楽か? 考察か?……
 確かなデザインの技法と秀でた色彩感覚、アーティストとしての清廉さを併せ持った彼は、自身の考え、夢、印象を苦もなく表現しています。 あまりに多くの画家たちが形式上や色彩的な模索過程で迷路に踏み込んで仕事をしている我々の時代にあって、マルチニは称賛に値する存在です。
 その作品に眼をやる者なら誰でも、「快楽」と「考察」というふたつのものの存在に打たれるだけでなく、そこに三つの要素がからまっていることに気づくのではないでしょうか。
 要素のひとつ、作品の持つ上品さが、なによりも我々の眼を愉しませること。
 二つ目に、その作品には我々に瞑想を引き起こさせる何かがあること。それは我々の眼の前に秩序のとれた哲学的な世界を展開するばかりではなく、とりわけ宗教的なインスピレーションさえもたらすものです。
 第三に、作品によってそのテーマのジャンルが異なるだけではなく、その手法も、構成すらヴァラエティに富んでいること。
 しかしながら、誰もこの多岐にわたる特色に異議を唱える訳にはいかないでしょう。
 何故なら、それらの意見はただ一つの共通した認識……マルチニこそがもっとも重要なイタリアンの画家であるという認識に収斂されるからです。

Arbert Schmidt
Jean Ducommun
Vivaldo Martini
Ernst Voegeli

Workslist

Galerie SELANO  http://www.galerie-selano.com