1920年、ショウ・ド・フォンに生まれ、58年にジュネーブで早すぎる死を迎えたこのアーティストは、よくトゥルーズ・ロートレックと比較されます。
どういうわけか、このふたりには共通点が多いようです。
たしかに身長140cmのロートレックほどではないにしても、非常に小柄な体躯であったデュコムは、ロートレック同様、しばしば鋭く風刺的な題材を好んで描きました。また、ロートレックが「ムーランルージュ」で描いた作品によく見られる人物のようにデュコムの作品にも下方からの光を受けた人物の作品が見受けられます。
しかし、ロートレックの作品の特徴として、軽い淡彩の手法があげられますが、デュコムの作品は素材を重ね合わせて、骨太な線をベースに実に活き活きとした色合いを創り出したところにあります。
その作品のクォリティの高さ、力強さにもかかわらず、ジャン・デュコムは今日ではほとんど忘れ去られています。
ジャン・デュコムが並はずれた画家であることは、その人生、作品、あるいはその際だった性格をみても明らかでしょう。
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TOSHIO HIRAI