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アクロポリス美術館
 
 

         《 第   5   室 》

◎  No.0681 <アンテノ−ルの作ったコレ−>の像

○ 島産の大理石で出来た 高さ 2 m.に及ぶ大きい記念碑のようなコレ−像で、明らかにアッテイカ地方の作品である。奉献者の名が 陶工ネアルコス Nearchus であり、像の制作者は アンテノ−ルであると記した刻み込みが、傍らにある この彫像の台座に付いている。この台座は 像の近くで出土したもので、中には この像と台座との関連を認めない人もいるが、像はこの台座の上に立っていたものと思われ、この両者は 相互に関連があったものであろう。台座に上に 作者の名の付いたものは、多くのコレ−像の中で 他には見当たらない。アンテノ−ルは、この当時の著名な彫刻家の一人であって、アルクメオニダイ一族がデルフイに作らせた アポロ神の神殿の東面破風を飾る塑像を制作したし、又 B.C. 480 年に クセルクセスが指示してペルシャに持ち去らせた 暴君殺害者たちの 最初の方のグル−プ像の作者でもあった。

○ コレ−像の身体の造型は 両肩幅を広く、両腕を強く、両胸を豊満に表現していて、このコレ−像に 強烈に高貴な気品を与えており、厳しくて気取りのない この頭部像の簡潔さの中で、気品がその頂点に達している。角張った頭部の髪の房が 極めて図式的に扱われ、力強くて幾何学的な顔の輪郭を 四角く形取っていて、顔付きには 厳しさが見られる。頭のてっぺんに ポロスと呼ばれる帯状頭飾りを付け、巻き毛が上品に頭を縁取っていて、その高貴さが強調され 神々しい美しさが充ち溢れている。コレ−の両眼には 岩硝子が嵌め込まれていて、その顔は 輝きで光っていた。衣服は右手の動きにつれて 向かって左の方に拡がっており、無数に縦に走った着衣の繊細な襞は 格別に巧妙に作られ、彫像の垂直な軸に沿って とりわけ深くシャ−プに作られている。このように 垂直面に力を入れて強調されていることは、この大作品の性格が 紛れる方もなく 記念碑であることを示している。顔面は 損傷を受けている。鳥除けの大釘のメニスコスが 上に付いている王冠は、コレ−の額の飾りになっている。凡そ B.C. 525年頃に作られた ア−ケイック期の彫刻作品である。

◎  No.1323 ア−ケイック期の デイオニソス神の頭部像

○ B.C.520 - 510 年のアッテイカ地方の作品である。後頭部全体が無くなってしまって、ひどく傷んではいるけれども、素晴らしい出来映えであったことは 現存する部分からも 充分に窺い知られる。

◎  No,0683 数多くのコレ−像の中で 最も変わったコレ−の像

○ そっくりそのままで今日まで残って来ているこの像は 収集されたコレ−像全体の中で 一番風変わりなものの一つである。柔軟という特色を持っていることは明らかであるが、下半身の脚と身体の間には はっきりと不均衡がある。顔付きは重厚で 肉付きは良いが、小人(こびと)のように釣り合いの採れない身体付きをしていて、顔に見られる表情は 一風変わって不格好に表現されており、衣服の形も不格好で 靴の形は先が尖っていて、時代遅れの赤色である。更にその上にこのコレ−像は 左脚ではなくて 右脚を前方に踏み出し、右手で衣服を上に手繰り上げ、左手では鳩と見られる小鳥を抱いているという その身振りが、他のコレ−像とは著しく対照的である。アッテイカ地方の作品と言う人もあり、ペロポネソス半島の作品と言う人もあって、意見が分かれている。この像は、B.C.6 世紀末に近い 凡そ B.C. 510 年頃に作られた作品である。

◎  No.0597 ヒッパレクトリヨン Hippalectryon(訳注 582)に乗った若者の像

○ 古代人の想像によって創られた 合成の怪物の一つで、馬の胴体と尾(翼)と鶏の後ろ足とを持ち、後ろ足を蹴って 跳び上がろうとしている。このテ−マは、壺の絵や小物の作品では 良く知られているけれども、大きい彫刻では これが最初のものである。B.C.6 世紀末の作品である。

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