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図版017 (016 から 019 まで コルフ島にあるアルテミス女神の神殿西破風の彫刻群)   NEXTnext-図版 018
   

図版017  (016 から 019 まで コルフ島にあるアルテミス女神の神殿西破風の彫刻群)

○ 有翼のゴルゴンの像が 破風の中央に巨大な姿をみせていて、その高さは 2.79 m.( 9 ft. 3.5 inch )であった。片膝を地面に着け 他方の膝は直角に曲げるというこの姿勢の一般的な解釈は、速く走っている動作を示す ア-ケイック期のシンボルであった。人に畏怖を起こさせるようなその顔を正面に向けており、歯を剥き出し 舌を伸ばして、恐ろし気ににやにやと笑う貌(さま)で 神殿に近付く人すべてを迎えているのであった。毒蛇と頭髪の巻き毛とが 額の上でカ-ル状になっており、他にも首の周りに毒蛇がいる。襞のない短い上衣は 元は赤色に着色されており、両顎をぱっくりと開いた 2 匹の有髯の毒蛇が お互いに向かい合い、ベルト状になって 腰の周りを締め付けている。クリュサオ-ル Chrysaor(訳注 5)とペガサス Pegasus(訳注 6)の二人は ゴルゴンの息子どもであり、ペルセウス Perseus(訳注 7)の剣でゴルゴンが突き刺された時に その頭から跳び出したと神話では伝えているが、破風のゴルゴン像の左右には その 2 人が立っている。2 人はずっと小さい像で、ペガサスの方は遺物が殆ど現存していない。ライオンと豹との合いの子の 猫科の大きい動物が この 2 人の隣りに夫々蹲(うづ)くまっている。ゴルゴン自身の眼差しと同様に その陰険な眼差しが、神殿に近付いて来る人々の方に向けられていた。
人に畏怖を起こさせるこれらの動物は、因襲的な管理者であったのであり、魔力を持ったその力を使って 礼拝像とそれを安置してあった神殿とを守護すべく、この場所に掲げて置かれてあったのである。像が幾つも中央に勢揃いしていて 大変印象的であるが、それに続く側面には 一段と小さい群像が 2 組あり、その何れもが ギリシャ神話の中の劇的な場面を描いたものであった。そこに描かれた主題は 幾世紀にも亘って 幾度もギリシャ芸術の中で心に思い起こされ、ギリシャの工匠たちの手で作られた その最も卓越した作品の内の幾つかに霊感を与えたものであった。ゼウス神がギガ-ス族に向かって 雷霆を振り翳(かざ)している貌(さま)が右側に描かれていて、このギガ-ス族は片膝を付いて ぐったりしてしまっている。トロイの包囲攻撃の中の決定的な場面が左側に描かれていて、ネオプトレモス Neoptolemus(訳注 8)がプリアモス Priamos(訳注 9)を 槍で殺害している。破風の先細りになった両隅に横たわっているのは 傷付いているか又は死亡した兵士の像 2 つであって、右側はギガ-ス族であり 左側はトロイ人である。

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