(訳注 001) アクロポリスの丘 the Acropolis
古代ギリシャ都市国家の中核となった城塞としての丘で<高い町>の意。通例城壁を巡らした城塞の中に 都市の守護神や諸神の神殿が建ち、時には政庁もあって国家の宗教と政治の中心であり、それを巡り或いはその麓に町が展開する。後には防禦的機能が薄らぎ、神殿の建つ聖域となった。アテネのアクロポリスはその最も有名な例である。
(訳注 002) アッテイカ地方 Attica ( page 41 図 04 参照)
ギリシャ東南部アテネを中心とする地方である。古代都市国家アテナイの領域で、イオニア人 Ionians が住み、ドリス人の侵入を蒙らなかった。
(訳注 003) クレプシュドラの泉 Spring of Clepsydra ( page 37 図 1 - No.26) <水泥棒>の意。小穴から水か水銀を流し出して 公判廷の審理時間や哨兵の交替時刻などを測定した古代の水時計を意味する。アクロポリスの丘の北西の麓の天然の小さい洞窟にあり ニンフたちが礼拝されたが、中世期には教会の区画に囲み込まれた。
(訳注 004) ミュケナイ期 Mycenaean times
エ−ゲ文明後期に属し、ギリシャ人がクレタ文明を採り入れて文化の進歩した B.C. 1600 年頃から ドリス人の侵入で滅んだ B.C.1200 -1100 年までを呼び、ミュケナイ、ピュロスなどの有力王国が栄えた B.C.1500 年頃が その最盛期である。クレタ文明の模倣で 技巧はこれより劣るが、城塞、墳墓に見られる特性は 尚武的で壮大である。
(訳注 005) キュクロップスたち Cyclops
天空神ウラノスと大地女神ガイアとの三人の息子 ブロンテス Brontes<雷鳴神>、ステロペス Steropes<電光神>、アルゲス Arges<閃光神>で、ゼウス神に雷霆などを与えた 遠隔の地に住む野蛮な一眼の巨人族を言う。卓絶した工人で、先史時代の巨大な岩石で作った城壁をその不規則な積み方で キュクロップス式城壁と呼ぶ。
(訳注 006) アステイ asty
ポリスの中心市のことで 嘗ては支配階級がここに住んだ。都市守護神の神殿と市民共同体の政治生活の場所としてのアゴラがこのアステイの中枢をなしていた。
(訳注 007) パラス Pallas
<乙女>の意で、アテ−ナ女神の呼称の一つである。パラスはトリトンの娘で、アテ−ナ女神と同年輩のため 幼少の頃女神と一緒に育てられた。武術に励んだ二人が 或る時争いとなり、ゼウス神の翳したイ−ジスにより 傷付いて死んだ。女神は友の死を嘆き 彼女に似せた木像を彫って、神として崇めたとされる。
(訳注 008) アテ−ナ女神 Athene
ゼウス神とメテイス女神 Metis との娘で 知勇兼備の純潔処女神である。父の頭から完全武装の姿で生まれたとされ、織物、陶器等の技術、音楽、戦術の女神で、アテネの町の守護神である。ロ−マのミネルヴァ Minerva に当たる。
(訳注 009) サロン湾 Saronic Gulf ( page 41 図 04 参照)
アテネの南方に拡がった湾で、湾内にエギナ島 Aegina がある。
(訳注 010) イミトス山 Mt. Hymettus
ギリシャ南東部アテネ東方郊外にある山で 高さ 1110 m. 大理石及び蜂蜜を産する。
(訳注 011) パルネス山 Mt. Parnes ( page 41 図 04 参照)
アテネの北方 33 km. アッテイカの最高峰( 1411 m.)で、現在はリゾ−ト地である。
(訳注 012) ペンテリコス山 Mt. Pentelicus
アテネ東北約 18 km. の山で 高さ 1109 m.パロス島 Paros と共に古代ギリシャ大理石の二大産地で、パロス島産が輝かしく閃めくのに対して やや乳白色である。B.C.5 世紀から採掘されている。山麓に 16 世紀の修道院がある。
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