○ アルテミス・ブラウロニア女神のテメノス
○ アルテミス・ブラウロニア女神に奉献された B.C. 5 世紀の露天の祭域( page 37 図 01 - No.41)の土台があった位置は、プロピュライア入口門に隣接していて その南東の所にあった。分娩しようとしている婦人や 産褥にある婦人を守る この女神の礼拝は、ずっと古くペイシストラトスの年代に アッテイカ地方のブラウロンから アクロポリスの丘に移されて来たものである。神話によれば この女神のクソアノンの神像を イピゲネイア Iphigeneia(訳注 396)がタウリス Tauris(訳注 397)の地から 持ち込んで来たとされている。
○ <ブラウロニオン Brauronion>という名の 彫り込みが付いていることで知られるこの祭域には 北東隅に入口があって、祭域の境界線が キモンが作った壁面沿いに ずっと続いている。長さが 38 m.で 幅が 7 m.ある 長いストア(柱列歩廊)が立っており、北に向かって開き 円柱が 10 本立っている ドリア式のコロネ−ド(柱列廊)が正面に付いていた。このストアには 柱で天井を支えた 10 x 7 m.の広さの部屋が 2 つあり、どちらも北側に 言い換えれば祭域の中央に向かって 入り口が付いていて、その位置は ストアの両端に当たっていた。このストアの 2 つの部屋の片方には 外見がブラウロンのクソアノン像と同じの このアルテミス女神の太古の礼拝像が安置されて 立っており、もう一方には パウサニアスの伝える所では プラクシテレス Praxiteles(訳注 398)が制作した この女神の素晴らしい彫像が安置されていたとされるし、女神に献げられた貴重な奉献物を 安全に保管するための 神庫としても使用されていた。
○ 中央にある中庭には 献げ物が立てられてあった。大理石で出来た台座の上に立っていて トロイの馬の身代わり像であった ブロンズ製の大きいこの馬の像のことにも、パウサニアスは言及している。後年になって 東側の部屋が増築されて 第二のストアが加えられているが、これはもとあったメインのストアと 幅の長さは同じであるが、長さの方が 17 m.と より短いものであった。
挿絵 07) アクロポリスの丘の上のアルテミス・ブラウロニア女神の祭域
(ステイ−ヴンスのスケッチ) |