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アクロポリス美術館
 
 

◎  No.0694 翼のあるニケ女神の部分像

○ B.C.525 年頃に作られた像で、翼が後ろに見えている。脚の部分は 完全に残っている訳ではないが、側面から見る形になっているのに対して、胸の部分は 前向きになっている。右足は膝の所で しっかりと曲げられ、恰かも走っているかの如く 力強く前方に出されている。これは飛翔の形を示す ア−ケイック期の表現方法である。現在は毀われてしまったが、鎌形の大きい翼が 上方に向かって張り出していた。恐らくこの作品は、アテ−ナ女神の古い神殿の アクロテリアの一つであったのではないかと 考えられている。

◎  No.0069 獅子の頭のサイマ(隅石)の部分

○ 内陸地方産の大理石で出来ていて、その高さは 32 cm.である。ペイシストラトス一族が B.C.525 年に建てた アテ−ナ・ポリアス女神の古い神殿の屋根の軒先のサイマに 等間隔に置かれ、排水口になっていた獅子頭の内の一つである。左の棕櫚模様から見て、破風に接する角に当たる 最も左の隅にあったものである。

○ 大きく見開いた眼の 鋭い刻み込みや、突き出た顴骨から口に到る 躍動する筋肉、それに 顔の輪郭を取り巻いて 放射状に逆立った鬣(たてがみ)など そのモデリングは鋭く直截で 表現豊かであり且つ大胆である。鬣には青、唇には黄、瞳と口腔には赤の 彩色の痕跡が 豊かに残っている。

○ 眼の形が この美術館の収蔵品 No.0143 の猟犬の像に似通っていることから、この獅子の頭も フエイデイモスが B.C. 520 年頃に作ったものではないかと見られるが、同じ収蔵品 No.0590 のランパン・ヘッドの巨匠が作った その後期の素晴らしい作品であろうかともされている。

◎  No.0670 下着のキトンを着た ア−ケイック期のコレ−像

○ 島産出の大理石で出来ており、像の高さは 1.14 m.である。エレクテウム神殿の北西で、 1886 年に出土した コレ−の略々完全な全身像である。

○ アッテイカ地方の小さい王女のように 淑やかで魅力的な作品で、美しい襞の付いた(手編みの)下着の キトンだけしか纏っていないのが、大変珍しい。腰紐を締め 和服のように折り返した イオニア式のキトンが、たっぷりと豊かな襞を作って ゆるやかに腰の辺りまでを覆い、下半身では両足の周りで 身体にぴったり纏わり付いて、脚部の線を露わにしている。左手は キトンを前面で束ねて掴み、裾を上品に持ち上げている。二段重ねになった太い編み髪と ポロス polos(訳注 575)と呼ばれる帯状頭飾りとが 頭の周りを取り巻き、他方 4 本のセットになった巻き毛が 2 組、首を縁取っている。キトンの襟首の線の周りと 裾の中央の襞とには、装飾の付いていた痕跡が見られる。彩色の跡も良く残っていて、髪は赤 キトンは緑で、冠には緑のパルメット模様 palmett(訳注 576)があり、左腕の蛇の形の腕輪は 黒である。

○ 服装はイオニア地方風で 身体の線の流れは優雅であるが、作風は寧しろアッテイカに属しており、顔立ちが 収蔵品 No.0673 のキトンとヒマテイオンのコレ−像に似ていて、繊細な仕上げを好む同一の作者が B.C.520 年頃に作った作品であると見られる。

◎  No.0159 アテ−ナ女神と見られる 女の下半身像

○ B.C.520 年頃の作と考えられるが、もう少し後期のものという意見の人もある。女神は イオニア式のヒマテイオンだけを身に纏い、右方に向かって 元気よく足を踏み出している。身体は 3/4 近く こちらを向いているが、剥き出しの膨ら脛の部分は 横を向いたまま 右側から見た形で捉らえられている。外套は 両足の間の所で集められている。特に注目に値いするのは、その自由な動きが美しい上に、その構成が 良くバランスの採れていることである。

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