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アクロポリス美術館
 
 

◎  No.0673 キトンとヒマテイオンを着けた ア−ケイック期のコレ−の立像

○ ペンテリコス山産の大理石で出来ていて、像の高さは 90 cm.である。B.C.520 年- 510 年頃に作られた アッテイカ地方の作品と見られている。

○ 典型的なイオニア式の衣装を着けており、縁に模様のある下着のキトンの上に ヒマテイオンを両肩で留めている。この様な着付けは アクロポリスのコレ−像の中でも全く風変わりであって、そのために ヒマテイオンは垂直な襞を作って、両側に垂れ下がっている。右腕を肘で曲げて突き出し 奉献物を持っていたが、別に作って 取り付けられていた前膊部は 今は残っていない。左手で腿の辺りに纏わり付いている 長いキトンの褄(つま)を軽く撮んで 優雅に持ち上げていて、これが当時の良家の子女の所作とされていた。典型的なア−ケイック期の微笑を浮かべているにもかかわらず、顔には同時に 幾らか厳しさが見られる。キトンの上部の縁に 彩色が良く残り、頭の冠にも 花模様の彩色が残っている。コレ−像の頭には 長さ 12.7 cm.に近い <メニスコス meniskos>と呼ばれる鉄の大釘が付いていて、大きい鳥が彫像の上に住み付いて 像が損傷を受けるのを防ぐ役をしたものであろうと 信じられている。

○ 顴骨から顎への 刻みが深く、瞼や唇の線も 鎬立っていて、頭髪も 装飾的・形式的であるとは言え 稜角鋭い輪郭を見せており、全体として簡素で 雄勁な表現に充ち溢れている。

◎  No.0671 ア−ケイック期の 略々完全なコレ−の像

○ ペンテリコス山産の大理石で出来ていて、この大きい像の高さは 1.75 m.である。エレクテウム神殿の西で  1886 年に出土した。

○ 収蔵品 No.0670 のコレ−像が着ているような 軽い襞のある下着のキトンを同じように着ており、その上に着ている外衣のヒマテイオンは 幅広い両肩に投げ掛けられ、垂直に垂れ落ちて 重い襞を作っている。コレ−の身体はしなやかで 力強いカ−ブを描いている。頭には 帯状頭飾りを着けており、コレ−の微笑を押し殺したような面立ちには 活発なモデリングが見られる。B.C.520 年頃の作品である。

◎  No.0145 テセウスのトルソ像

○ パロス島産の大理石で出来ていて、像の高さが 63 cm.の すらっとして良く出来た若者の像である。トルソだけしか残っていないが、左肩に他の人物の右手があり、群像の中のこの一部だけが 残ったものであることが示されている。アテネ王のアエゲウスの子のテセウスが、故郷に帰る途次に遭遇した 強盗のプロクラステス Procrustes(訳注 577)を討つ貌を描いたものであることは、略々確かである。

○ テセウスは左足を踏み出し 左腕を伸ばして、向かってやや右前方にいた盗賊の咽喉の辺りを掴み、上方に振り上げた右手の武器で 止どめの一撃を加えようとしていたものであろう。身体の造型に 柔軟さが余り見られず、手の動きが 剥き出しではあるが、良く抑制されている点は 注目に値いすることである。

○ B.C.520 年頃に アテネ人の仕事場で作られたものであることは、確実と見られる。

◎  No.0633 足首まで伸びた長い外套を着た 若者の像

○ パロス島産の大理石で出来た B.C.510 年頃のアッテイカ地方の作品である。左足を前に出し 右手を肘の所で曲げた姿勢は、同時代のコレ−の像に見られる特徴と同じで、切り離して考えるのは 難かしい。ヘアスタイルだけが はっきりと男らしく見える。若者の風采全体に イオニア・スタイルが大いに強調して示され、夫々の外套の個々の布地を区別している点に この作者の素晴らしい感覚が見られる。若者の態度の 一般的な描写の中にも、特に素晴らしいものが見られる。

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