◎ No.0616 - 0660 (部屋の扉柱にある)コレ−の頭部像 2 つ
○ 昔の色彩の痕跡が 残っている。No.0660 の頭部像の方は B.C.6 世紀の第 3 四半期のもので、イオニア地方の作品であろう。これに対して No. 0616 の頭部像の方は もっとアッテイカ地方の形態をしていて、B.C.500 年頃の作品であろう。
◎ No.0686 + 0609 エウテユデイコス Euthydicus が奉献したコレ−の像
○ このコレ−の彫像は、凡そ B.C. 485 - 490 年頃の マラトンの戦いの少し前か後の頃に作られた アッテイカ地方の作品である。今日まで 2 つの部分が残存していて、その 1 つは 頭と一緒になった 腰から上の上半身部であり、もう 1 つは 太腿の真ん中から下の 両脚の部分である。土台石に鉛でくっ付けられている 柱頭のエキナスのように 円い台座の上に 素足で立っていたもののようで、この台座には 彫り込みが付いており、この彫像を女神に奉献したのは タリアルコス Thaliarchos の息子のエウテユデイコスという人物であることが、示されている。
○ コレ−像の衣服やポ−ズだけには ア−ケイック期の技法が持っている 伝統的な本領が保持されているが、その他の点では 前クラシカル期の気風が多く見られ、文化と人生との新しい着想が生まれて来ていることを 示している。衣服が簡素化されており、衣服を通して浮かび出ているように 身体が丸やかにつくられている上に、とりわけ その表情は厳しい。像の丸ぽちゃの顔面には 嘗て慣例になっていた微笑は 完全に消えてしまっており、丸々とした両唇の線は 弧を作って張り詰め、重厚な眉や憂いに充ちた眼差しと相俟って 顔には寧しろ 或る種の憂欝の表情が現われていて、この像に元気のないような(落胆しているかの如き)外観を与えている。<la Boudeuse>(気難しいもの)と呼ばれる所以である。頭髪は波状になって 真ん中で分けられ、顔は非常に端正で、釣り合いが採れている。両眼のラインは 水平である。前に突き出した左脚の上に被っている衣服は 格別に首尾よく 透明に描写されている。この像の持っている 上品で生真面目な表情から <脹れっ面をした少女>とか<腹をたてたコレ−像>とかいうニック・ネ−ムで呼ばれているのは、尤もなことである。
○ アッテイカ地方産の 白い大理石で出来ており、像の高さは 54.5 cm.で、焼けた痕跡がある。パルテノン神殿の東で 1882 年に出土した。ア−ケイック期のコレ−像の中では 制作年代の一番新しいもので、純粋に アッテイカ地方の創作品である。
◎ No.0302 頭がなく 胴体と左腕だけの若者像
○ 頭を右肩の方に回していたという痕跡が、首の所に 明らかに見られる。左肩に比して 右肩が幾分高くなっていることから、今は右手はないけれども、嘗ては 頭の高さより更に上に この右手を挙げていたものであろうと思われる。B.C.490 - 480 年頃に作られた アッテイカ地方の作品である。
◎ No.0692 頭がなく 膝まで現存する若者像
○ 島産の大理石で出来ていて、B.C.490 年頃の作品である。そのポ−ズは完全に 正面から見る様になっている。突き出した左足は少し曲げられている。胴体とその表面の造型には 得難い柔らかさが見られ、作品にはイオニア地方の影響が強く見受けられる。
◎ No.0120 浅い浮き彫りの断片を 組み立て直したもの
○ オリムポス山の神々とギガ−ス族との争いの ギガントマキアの場面が描かれている。アテ−ナ女神が 横顔を見せており、ギガ−ス族のエンゲラドスに向かって 大変な勢いで進んでいる。左手で 神盾のイ−ジスを差し伸べ、右手で 槍を振り上げている。このギガ−ス族は 女神に背を向け、跪(ひざま)づいて 蹲(うず)くまっている。女神の攻勢的な動作は、収蔵品 No.0631 の 破風のアテ−ナ女神の大きい像を思い起こさせる。彩色の痕跡も残っている。背景は 青色であった。B.C.5 世紀の初期の作品である。
( 220 ) |