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アクロポリス美術館
 
 

         《 第   7   室 》

○ トルコの支配期間中に構築された建造物を アクロポリスの丘から取り除く国民運動が、アテネがトルコの支配から解放されたのに続いて 起こった。その時 パルテノン神殿の塑像装飾物に属する大理石の断片が 数多く見出されたが、これらのものは、土中に埋められていたために エルギン卿が在ることに気付かず 持ち去られずに済んだものであった。破風に付いていた身体の像、フリ−ズ(帯状彫刻)の完全な厚板やその部分の断片、メト−ペ(小間壁)といったものが、こうした素晴らしい作品である。大英博物館に次いで、このアクロポリス美術館には パルテノン神殿の彫刻物が 一番沢山展示されている。これらは この美術館の第 7 室と第 8 室とに展示されており、第 7 室の壁の上部高くには パルテノン神殿の 2 つの破風を復元した 漆喰の塑造物が作られていて、破風の構成の輪郭を推測することが可能である。モロシニが 1687 年に大災害を引き起こした年代より以前の  1674 年に、ノアンテル侯爵 Marquis de Nointel がアクロポリスの丘を訪れた時に、その随員として加わった ジャック・カリ−か、又は名の知れない一人の画家の描いた スケッチ画をベ−スにして、この復元が行われたものである。この時点では 両破風は 未だ殆ど旧(もと)のまま、完全であった。人物像が誰を示しているのか 又その配列がどうなっていたのかなど、細かい部分については 専門家の論争が多く、色々違った疑問が 数多く残っている。

◎  No.0705 パルテノン神殿の南面のメト−ペの浮き彫り

○ ペンテリコス山産の大理石で出来ていて、殆どもとのままで 完全も同然のメト−ペである。高さは 106.5 cm. 幅は 112 cm.であり、B.C.445 - 438 年に作られたものである。ケンタウロマキ−の場面で テッサリ−地方のラピタエ族の王ピリト−スの結婚式に招かれたケンタウル族が、酒を飲み 酔って 花嫁のヒポダマイア Hippodamaia(訳注 603)や他の婦人を犯そうとして、争闘が始められた場面が描かれている。

○ 攻勢的なケンタウル族の一人が ラピタエ族の婦人の 腰の所をひっ掴み、激しい努力をして 婦人を自分の背に担いで 連れ去ろうと企てている瞬間が、描かれている。婦人は 全身の力を込めて抵抗し、ケンタウルを押し除けようとしていて、ここに表現されたテ−マが、このメト−ペの浮き彫りに 躍動感とリズムとを与えており、衣服の襞と裸の身体とが 特別に強調されている。ラピタエ族の婦人の位置が 斜めであって、モデリングが 殆ど円形になっているのが、注目に値いする。

◎  N0.6511 若いラピタエ族の頭部像

○ 第 8 室への通路の 扉柱の上部に展示されていて、パルテノン神殿の南面の ケンタウロマキ−を描いたメト−ペの部分である。

◎ No.0720 + 0727 半人半馬の怪物 ケンタウルの頭部が 2 つ

○ 扉柱の上部にある。パルテノン神殿の 南面のメト−ペの部分で、非常に印象的な顔付きをしており、その表情は 人間と獣との混じった形をして見せている。

◎  No.1309 はっきりした顔立ちをした 美しい婦人の頭部像

○ パルテノン神殿のメト−ペにあったものであるが、どのメト−ペであったのかは はっきりしない。

◎  No.0855 イリス女神の頭部像

○ 深い浮き彫りの イリス女神のこの頭部像は、パルテノン神殿の東面フリ−ズの 大英博物館に収蔵されている 第 5 の厚板の一部となるものである。女神の顔は 乙女の清純な美しさを持っていて、品位があり 晴れやかである。左手で頭髪を上に持ち上げ、行進を迎える準備をしている。

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