美術学校で学ぶ傍ら、若きシュミットは父ダヴイッドの友人であったフェルディナンド・ホドラーの影響のもとに成長したと言っていいでしょう。フェルディナンド・ホドラーはいうまでもなく、20世紀を代表する傑出した画家です。
ホドラーがスイスの大自然や人間を愛して、その根元の姿を芸術に高めたように、シュミットの絵画は、象徴的に単純化した形や姿をリズミカルな線と色彩で表現しています。
学友ハンス・ベルガーや同時代のスイスの画家の多くが表現主義に傾倒していったのに対して、シュミットは象徴派の立場をまもり続けました。アルベール・シュミットはまぎれもなく、ジュネーブ画壇のもっとも個性的なプレゼンティターのひとりです。
今回ご紹介する作品は、彼の長く実りの多いキャリアの中の1910年から20年代のごく一部の作品です。それでもホドラーから受け継いだ芸術家としての精髄を自身の個性、感性として身につけたシュミット絵画のエッセンスは十分ご堪能いただけると思います。
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TOSHIO HIRAI