図 版

 
図版 002 兵士の像   NEXTnext-図版 003
   

図版 001 馬の立像

○ ブロンズで出来ている像で 無垢の鋳物である。像の高さは 20.5 cm.( 8.2 inch)である。アテネのアクロポリスの丘の上で出土した。アテネの国立美術館に収蔵されている。(収蔵品 No.6613)

○ この兵士は 右手で槍を振り翳し、左手には 盾を保持していた。先端の尖っている兜を被っていて、その兜の頂きには 前方に向かってカ-ブした前立て(クレスト)が 嘗ては付いていた。兜の下からは 豊かな頭髪が垂れ下がり、肩まで懸かっている。両脚は長く 腰はとてもすらっとしていて、扁平な胸板が 腰の上部で、筋肉質の幅の広い両肩の方に向けて カ-ブ状に拡がっている。ア-チ状にはっきりと印された両眉の間を通って 鼻が額から真一文字に垂れ下がっているが、その弱々しい額と 幅広の口と 先端の尖った顎とが、丸くて大きい この兵士像の顔の特徴となっている。兵士は 両眼を大きく見開いて、観客の方を見詰めている。

○ この図版に示されたブロンズ製の馬の小像(図版 001)に代表されるような、この像のタイプではあるけれども 作られた年代がもう少し古い幾つかの像と比較して見ると、この兵士像の方が よりずっと生命あるもののように見える。身体と手足とが 有機的な新しい結合を示しており、より生き生きした造型をしている。伝統的な頑(かたく)なさが 幾らか引き下がってしまって、肉体の生気の表現が見受けられるようになっている。この像は B.C. 8 世紀の末頃に作られたものであって、言わば二つの年代に跨がっているものとも言えよう。ジオメトリック期のスタイルの限界を 一方では確かに超えてはいるものの、次ぎの段階である所謂ダエダリック期の芸術の 完全にモニュメンタルな力を持つには 未だ到っていないものと言えよう。。

○ 右腕の前膊部分は 捩(ね)じ曲がっている。この小像は 近年電解されて 綺麗になったのであるが、この処理を受けたお蔭で このブロンズ製の像は、嘗て持っていた明かるいト-ンを回復するに到っている。。

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