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図版 005 薬罐に付いていたグリフインのプロトメ   NEXTnext-図版 006
   

図版 005 薬罐(やかん)に付いていたグリフインのプロトメ

○ ドイツ人がオリムピアで行った新しい発掘作業中に 出土した。ブロンズで出来ている像で 像の高さは 35.8 cm.( 14 inch)である。オリムピアの美術館に収蔵されている。(発掘物 収蔵品 No. B - 945)。
○ 図版 4 に見られるグリフインの巨大なプロトメとは異なって、薬罐に付いていたこのグリフインの像は 鋳物の芯型の所で単一体になって 鋳造されている。頚部はカ-ブして 素晴らしい弯曲を一つだけ描いており、基部では 拡がって平らな接着部になっていて、3 本のリベットで この平らな部分が薬罐の肩口に取り付けられていた。鱗模様の彫り込みが 頭部と頚部とを一面に覆っている。頚部の渦巻き模様になった大きいカ-ルや 両眼の後ろにある幾分小さ目の渦巻き模様や 嘴(くちばし)の上の方の縁にも亦、彫り込みが見事に付けられている。この頭部像にも亦 円形の塊まりの付いた突起がてっぺんにあり、額には瘤(こぶ)が付いていて、特徴のある印しとなっている。舌の先端と 真っ直ぐに突っ立った右の耳の先は、壊われて亡くなってしまった。眼窩には詰め物が入っていたが、今では残っていない。
○ 図版 4 に見られるグリフインの巨大な頭部像と比較すると、このプロトメが創り出している印象は 程良さということである。悪魔のような獰猛(どうもう)さといった同じような外観を この頭部像は持ってはいない。作りも外形も よりコンパクトであって、造型はより集約的である。ギリシャの薬罐に付いているグリフイン像の辿った発展過程の中では、より後期の段階に属する 新しいクライマックスの代表作であるが、それでも 辛うじて 25 年になるかならないかの期間の隔たりがあることで、図版 4 のグリフインの大きい頭部像と はっきり区分されているのである。

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