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(本文訳注 069) アフアイア女神 Aphaia の神殿
アテネの南方のサロン湾 Saronic Gulf に浮かぶ エギナ島の東岸台地に立つドリア式の神殿で、B.C.500 年頃の建造である。東西 6 柱、南北 12 柱、床面 13.77 m. x 28.81 m.の大きさで、島で崇拝された 地方的な女神アフアイアを祀る。トロイ戦争を表わした東西破風の群像は、ア-ケイック期の彫刻の傑作として有名である。

(本文訳注 070) サモス島 Samos  ( page 27 図 01 参照 )
エ-ゲ海の小アジア沿岸近くにある小島で、面積は 500 平方 km.人口凡そ 6 万人。早くからイオニア人の植民地となり、B.C.7 世紀には 各地に植民した。6 世紀には有名な工芸家や詩人が輩出し、僭主ポリュクラテス Polykrates の支配の下、繁栄の頂点に達した。南岸のヘラ神殿のイオニア式ヘライオンは当時のギリシャ最大の建物( 8 x 21 計 104 柱の二重周柱式、52.5 m. x 105 m.の床面で、建築家はロイコス Rhoikos)で、後にポリュクラテスが再建に着手したが、未完に終わった。イオニア反乱の挫折後、ペルシャに従属したが、後独立して デロス同盟に参加した。B.C.441 年の反乱をペルクレスに鎮圧されて アテネに隷属した。ピュタゴラス Pythagoras の出生地である。

(本文訳注 071) ヘラ女神 Hera
オリムポスの女神中最大の女神で、ゼウス神の姉であり 同時に正妻でもあった。ロ-マのユノ-女神 Juno と同一視される。結婚と出産、女性の性生活の守護神である。本来は ギリシャ先住民族の女神であるらしく ギリシャ人の侵入に際して 自己の主神と土着の女神とを夫婦にしたものと言われる。ホメロスで ゼウス神と仲の悪いのは、このような事情の名残であろう。多くの都市で祭られるが、特にアルゴスとサモス島のヘライオン Heraion が名高く、ここでは 主神の地位にある。神話では クロノス神とレア女神との娘で、オケアノス神 Okeanos とテテユス Tethys 女神とがレア女神から預かり、世界の果てで養育したとされる。ゼウス神の 3 度目の妻で、二人の間には ヘパイストス神、アレス神、エイレイテユイア女神 Eileithyia 、ヘ-ベ女神 Hebe が生まれている。神話では この女神は、激しい嫉妬心に駆り立てられて 夫の恋人やその子供たちを迫害する女神である。

(本文訳注 072) スフインクス Sphinx
胸から上部は女で ライオンの胴体、蛇の尾、鷲の翼を持つ怪獣であり、ヘラ女神がテ-ベを罰するために エジプトから遣かわしたものとされる。ヘシオドスは ヘラクレスに退治されたゲリュオン Geryon の牛の番犬オルトロス Orthoros が 母のエキドナ Echidona と交わって生んだ子とするが、テユポン Typhon の子とする者も多い。古代エジプト人は これで王の権力を表現出来ると信じた。その最古の例はギゼ- Gizehのもので、神殿建築では 参道の両側に並べられた。非常に古くからギリシャに伝えられたが、普通エジプトのものは男性で 翼がなかった。最初は子を攫(さら)い 戦闘では死を見守る怪獣として、又逆に魔除けとして 盾や墓の上に付けられ、円柱の上に柱頭として置かれた例もある。テ-ベのこの怪獣の伝説が有名で、町の西方の山の路傍の岩の上に陣取り、3 人のム-サ Musa から教わった謎を旅人に問いかけ 解けない者は取って食べた。オイデイプスがその謎を解いたので、辱しめられたスフインクスはピキオン山 Phikion から身を躍らせ 粉々に砕けたと言われる。

(本文訳注 073) サイレン Siren
上半身は女で 下半身は鳥の形の 人を魅了する歌い手の 海の怪物である。スキュラ島 Skylle とカリュブデス島 Charybdis の近くに棲み、その歌を聞いた船乗りは 引き付けられて、島に上陸して 死んだとされる。2 人、3 人或るいは 4 人で、ム-サ Musa の 1 人と河神アケロオス Acheloos との間の子とされる。元来は ペルセフオネ女神に従っていた乙女であって、風を収める力と 死者を冥府に贈る役割りとを有するとされ、墓石の上に 彼女たちの姿が屡々見られる。古典時代以後 次第に美化され、遂にはム-サたちと同じく 音楽の代表者となり、更に 冥界の女神とも 幸福の島の音楽家ともなっている。

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