訳 注

 P36(-p64)
訳注
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(本文訳注 021) デイアドコイ Diadochoi
アレクサンダ-大王の第一後継者たちのことである。大王が急死して 後継ぎがなく、その大帝国は諸将によって分治されることとなった。しかし、彼等は何れも 大王の後継者をもって任じ、次々に王号を称して 帝国の統一を企て、約 50 年に亘って相戦った。その第一世の諸王も次々に死んで、略々 B.C. 280 年頃からエピゴノイ Epigonoi(第二後継者)の時代になった。彼等は 大王の志とその政策をそのまま自分のものとし、ギリシャ文化中心の文化政策、ギリシャ要素と土着要素との融合に努めたので、オリエントのヘレニズム化は 著しく進んだ。

(本文訳注 022) クラシカル期 Classical
ギリシャ芸術が その調和的・理想的形式を完成させた時代で、ペリクレスがアテナイの政権を手中に収めた  B.C. 450 年頃から、アレキサンダ-大王の歿年の頃 凡そB.C.320 年頃までを言う。クラシックの呼び名は、ラテン語のクラシクス classicus (<最上級の><模範的な>の意)に由来する。(本来はクラシス classis<ロ-マ市民の階級区分>における最上級層クラシキ classici の形容詞形) この時代は、一般にはB.C.5 世紀後半の盛期クラシック<崇高な様式>と、B.C.4 世紀の後期クラシック<優美な様式>とに区分されている。

(本文訳注 023) テラコッタ terra - cotta
<赤土素焼き>の意。良質の粘土を素焼きにした硬い土器で、土偶、壺などにされ、建築物の外装用、特に陶壁、蛇腹、柱頭などの複雑な模様のあるものにも用いられた。石膏原型に土を押し付け 空洞のある形状を作って焼成したもので、半光沢の釉薬(ゆうやく)を施したものもある。石器時代から作られ、ギリシャでも B.C.7 世紀にはタナグラ始め各地で 素朴な神像その他の小像が作られ、ヘレニズム期には地中海沿岸諸都市に拡まった。日本の縄文土偶や埴輪(はにわ)、中国の漢代から唐代にかけての俑(よう)も 古代テラコッタの代表的なものである。

(本文訳注 024) アクロポリスの丘 Acropolis  (page 28 図 02 参照)
古代ギリシャ都市国家の中核となった城塞としての丘で<高い町>の意。通例城壁を巡らせた城塞の中に 都市の守護神や諸神の神殿が建ち、時には政庁もあって国家の宗教と政治の中心であり、それを巡り或いはその麓に町が展開する。後には防御的機能が薄らぎ、神殿の建つ聖域となった。アテネのアクロポリスはその最も有名な例である。

(本文訳注 025) シシリ-島 Sicily 
イタリ-半島の先端沖にある地中海最大の島で、面積 25700 平方 km.人口は 480 万人弱である。東部にエトナ火山 Etna が聳えている。地中海世界史上重要な位置を持ち、B.C.8 - 7 世紀に ギリシャ人が植民し、ヨ-ロッパとアフリカとの架け橋の役割を果たした。B.C.5 世紀にシュラクサイ Syracuse を中心に主として僣主制の下に ギリシャ文化が栄えた。ペロポネソス戦争中のアテネの遠征を撃退し、B.C.4 世紀前半には勢力を拡げたカルタゴ Carthago も撃退して 和を結んだ。B.C.3 世紀にはカルタゴの進出に苦しみ ギリシャに救援を求めて危機を脱し、後ロ-マと提携して ポエニ Poeni 戦争後ロ-マの属州となった。島名は先住民のシクリ族 Sicuri に由来する。

(本文訳注 026) オリムピア Olympia  (page 27 図 01 参照)
ペロポネソス半島の北西部エリス地方 Elis にあるギリシャの聖地である。三方を低い山に囲まれ、アルフエウス河畔の低いクロノスの丘 Cronos の麓の小平野を占める。都市をなさず、神域があるのみである。ミュケナイ Mycenae 時代既に集落があったが、歴史時代にはゼウス神の信仰とオリムピック競技とで 全ギリシャの宗教的中心となり、マケドニア、ロ-マ時代にも盛んであった。神域(アルテイス Altis)は囲壁を巡らせ、その幅 200 m の四辺形で、ヘラ神殿、ゼウス神殿をはじめ、多くの神庫、祭壇、奉納像が立ち並び、囲壁外にはギムナジウム gymnasium、パラライストラ Palaistra、レオニダイオン Leonidaion などの諸建築や、競技場、競馬場があった。B.C.776 年頃から 4 年毎にゼウス神の祭典が行われ、祭典競技として 全ギリシャから参加した男子によってオリムピック競技が行われた。

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