(本文訳注 138) ピレウス Piraeus ( page 27 図 01 参照 )
ギリシャ南部サロン湾に望む港湾都市で 人口凡そ 20 万人。アテネの南西凡そ 10 km.にある外港で ギリシャ第一の貿易港、軍港である。B.C.493 年にテミストクレス Themistokles がペルシャ戦争に備えて 軍港をフアレロン Phaleron から移し、戦争後 碁盤目の街路を持つ所謂ヒポダモス Hippodamos 式プランの町と 半島西岸の商港カンタロス Kantharos が併設されて 町としての体裁が整い、次いで B.C. 465 年と 445 年の 2 度に亘ってアテネとの間に長壁が築かれた。ロ-マ年代にスラ Lucius Cornelius Sulla の略奪破壊によって衰えたが、近代に再興された。
(本文訳注 139) マウソラス王 Mausolus
B.C.4 世紀におけら 小アジアのカリア Caria の支配者で、生歿年は不詳である。ペルシャ帝国属州のカリア知事の地位にあったが、事実上は独立の状態で 勢力拡大を図り、都をミュラサ Mylasa から ハリカルナソスに移し、B.C.362 年には 小アジアの反乱に加わった。第 2 回アテナイ海上同盟の中心のアテネと衝突し 同盟市戦争となり、コス・ロドスの両島が その実権下に帰した。カリア人の慣習に従い 姉アルテミシア Artemisia と結婚した。ギリシャの学芸を愛し 新首都に大宮殿を造り、生前から自己の廟を計画していた。
(本文訳注 140) プラクシテレス Praxiteles
B.C.370 - 330 年頃 アテネで活躍した彫刻家で、ケフイソドタス Kephisodotos の息子である。クラシカル期後期の代表作家で、<プラクシテレスのS形>と呼ばれる流麗な人体表現で <優美様式>の創始者とされる。代表作の<クニドスのアフロデイテ女神像><オリムピアのヘルメス神の像>に見られるように 卓越した大理石彫法で優美な人体を表現し、神像に世俗性を加えた。盛り上がった眉、上に太い鼻筋、厚い下唇が彼の彫像の特徴で、優雅で情緒に充ちた作風である。
(本文訳注 141) テゲア Tegea ( page 27 図 01 参照 )
ペロポネソス半島中部の アルカデイア地方 Archadia 東南部の古代都市で、トリポリス Tripolis の南東にある。アルカデイア王リュカオン Lycaon の息子のテゲアテス Tegeates に因んで 名付けられたとされる。特に アテナ・アレア神殿 Athena Aleaで知られる。この神殿は古い神殿が B.C. 394 年に焼失した後の B.C.350 年頃有名な彫刻家のスコパス Scopas の手で再建されたドリア式周柱堂で この半島の最初の大理石神殿(6 x 14柱、床面 19.2 x 47.5 m)であった。華麗な装飾彫刻や破風群像の断片が遺っている。
(本文訳注 142) クニドス Cnidus ( page 27 図 01 参照 )
小アジア南西端の エ-ゲ海に突き出た細長い半島の西端に位置していた 古代ギリシャ都市で、B.C.900 年頃に建設された。ドリス系都市で スパルタ人の入植が伝えられている。カリアの古都であり ハリカルナソス、コス、ロドスの諸市と共に、ドリアンヘクサポリス Dorian Hexapolis(ドリス人の 6 都市)をなした。B.C.6 世紀に エジプトのナウクラテイス Naucratis や南イタリ-のタレントウムと貿易し、商業都市として栄えた。B.C.6 世紀半ば ペルシャに支配され、5 世紀には独立して デロス同盟に加盟した。B.C.394 年にアテネの海軍が ここでスパルタ軍を破った。
(本文訳注 143) デメテル女神 Demeter
クロノス神とレア女神との娘で、穀物及び大地の生産物の女神、農業・結婚・社会秩序の女神とされる。弟のゼウス神との間の子が ペルセポネ女神で、冥界の王の弟ハデス神が ゼウス神の助けを藉りて娘を地下に攫ったことを 太陽神ヘリオスから聞き、憤怒して天界を棄て 老女に身を変えて エレウシスに来たため、大地は実らず 人々は困った。柘榴(ざくろ)の実を食べて 冥界の掟で帰ることの出来ないペルセポネ女神に ゼウス神は使者ヘルメス神を送って仲介させ、毎年 2/3 だけは 神々と一緒に暮らせることとした。エレウシスを始めギリシャ各地で ペルセポネ女神と共に 2 柱の女神として祭られている。エレウシスの王ケレオス Keleos の子のトリプトレモス Triptolemos に穀物の栽培法を教え、彼が全世界の人類に この知識を伝えたとされる。エレウシス秘教の神話で、ペルセポネ女神が穀物の種子であったとも考えられる。厚い衣を纏い 成熟した威厳のある女の姿で表わされる。麦穂・水仙・芥子(けし)が女神の聖なる植物となった。ロ-マ神話のケレ-ス Ceres に当たる。
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