訳 注

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(本文訳注 162) アフロデイテ女神 Aphrodite
ギリシャの愛・善・美・豊穣の女神で ゼウス神とデイオネ Dione との娘とされるが、アプロス aphros は<海の泡>の意であることから、海の泡から生まれ出たともされる。セム人 Semites の豊穣神 アスタルテ Astarte に由来すると思われ、崇拝の中心は キプロス島 Cyprus、キュテイラ島、クニドスなど東ギリシャに多い。豊穣多産の女神として ホラ- Hora やカリス Charis の女神たちと関係がある。売淫の女神としてコリントで、航海や戦争の女神としてスパルタなどで祭られた。ヘパイストス神と結婚したが、軍神アレスと情を通じて エロス Eros、ポボス Phobos、ハルモニア Harmonia などを生んだとされる。ロ-マでは田園或るいは庭の女神として 同じ性質のウエヌス Venus と同一視される。女神の聖なる植物は、ミルト myrtle・薔薇・芥子、更に特に花梨(かりん)であり、動物は鳩・白鳥・燕と女神の戦車を曳く雀である。

(本文訳注 163) ニコクレイア Nikokleia
クニドスのデメテル女神の神殿の女神官である。ニコホロス Nikochoros の娘で、アポロフアノス Apollophanos の妻と記録されている。

(本文訳注 164) アンテイウム Antium
ロ-マの南にある イタリ-中部西岸の海港アンツイオ Anzio の古名である。B.C.338 年ロ-マ最古の植民として 300 家族が入植した。オステイア Ostia などと共に 古く沿岸防禦の海岸植民地として設けられた ロ-マ市民植民地の一つで、他のラテン植民地とは異なり 所属市民は完全なロ-マ市民権を有し、ロ-マの政務官によって統治され、共和政の末期まで自治は認められなかった。ロ-マ期からの遺跡、洞窟、彫刻が残される。海岸線が長く、 1944 年 1 月には 第 2 次大戦中の連合軍上陸の橋頭堡となった。現在は 人口 2.3 万人で、海岸行楽地、別荘地である。

(本文訳注 165) アテナイオス Athenaeus
B.C.3 世紀末から 2 世紀初め頃のギリシャの著述家で、エジプトの古都ナウクラテイス Naucratis に生まれた。 15 巻より成るデイプノソピスタイ Deipnosophistai を著わした。B.C.4 - 3 世紀頃のギリシャ喜劇の抜粋をこの著の中に投入していて、古代ギリシャの風俗習慣を知るのに 欠くべからざる資料となっており、既に失われた多くのギリシャ作家の断片の宝庫としても 貴重なものである。

(本文訳注 166) ロドス島 Rhodes ( page 27 図 01 参照 )
エ-ゲ海東南端のギリシャの島で、面積は 1400 平方 km. 人口は 7 万人で、産物は葡萄・オリ-ブ・オレンジである。ギリシャとオリエントとの海上交通の中間として重要であり、ミュケナイ文明期に 既に一中心であった。後ドリス人が移住し リンドス Lindos などの 3 市が有力となった。デロス同盟に加わり ペロポネソス戦争ではスパルタに組したが、後スパルタとアテネに服し、アレキサンダ-大王にも征服され、ヘレニズム期は独立して 中立政策を採り、地中海貿易の中心となった。都市は美観を誇り、港の入り口に立つヘリオス神の巨像は 古代 7 不思議の一つに挙げられていた。 1943 年までイタリ-領であった。

(本文訳注 167) プトレマイオス二世 PtolemaiosⅡ
姉のアルシノエ二世 ArsinoeⅡと再婚したので、<姉弟愛王>と呼ばれる。B.C.309 ? - 246 年。古代エジプトの王で 在位 B.C. 285 - 246 年。プトレマイオス一世の子で トラキア王の娘のアルシノエ一世 ArsinoeⅠと結婚した。第一・第二のシリア戦争及びマケドニアとの戦いで領土を拡大し、東アフリカ、南アラビアの通商路を確保した。強力な中央集権機構を整備し、経済、文化の繁栄を齎らし、王朝の黄金時代を築いた。エジプトにギリシャ植民を入れ 学者、文人を集めた。

(本文訳注 168) ニムフ Nymphe
山川草木や場所・地方・町・国などの精、又はその擬人化された女神である。若くて美しい女性とされ、神と違って不死ではないが、代わりに 非常に長寿とされている。歌と踊りを好み 予言力があるとされた。アルテミス女神その他の神々に従い、山野に狩りし デイオニソス神と踊り狂い パ-ン神やサテユルたちと恋をする。水の精のナイアデス Naiades、森の精のハマドリュアデス Hamadryades、山野の精のオレイアデス Oreiades などである。

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